情報の非対称性とは

情報の非対称性とは、売り手は情報を持っていて、買い手は情報を持っていないような状況をいいます。

情報の非対称性が成り立つ場合、比較的売り手が優位な状況になります。

例えば、宝石の知識のない人に宝石を売る、医学の知識のない人に薬を売る、という場面は、情報の非対称性が成り立ち、売り手が有利な状況といえます。




弁護士選びと情報の非対称性

以前から弁護士業界で時々話題になる「情報の非対称性」について考えみたいと思います。

弁護士業界に詳しい依頼者はほとんどいません。

ですから、基本的に依頼者は弁護士に関する情報を持っていません。

またどのような弁護士が良い弁護士なのかも判断できないでしょう。

そのような状況で消費者は何を基準に弁護士を選ぶでしょうか?




テレビショッピングの例

わかりやすくテレビショッピングを例に説明します。

関節の痛みに悩んでいたとします。

するとテレビで関節の痛みに効果があるという成分を含んだ商品を販売している通販番組が流れました。

私には医学の知識などありません。

「個人の感想」では紹介されるみなさんが「いいと」言っています。

販売実績も何十万本も売れている人気商品のようです。

このような状態が「情報の非対称性」の状態です。




悪いことは言わない

よくよく考えてみると、通販番組は広告ですから、メーカーにとって悪いことを流すことはないのです。

ですから「お客様の声」によいことばかりが並んでいるのは当たり前です。

販売実績も、売れていない商品ではお客は安心して買いませんから、ある程度、自慢できる数字になるまでは公表しないのは当たり前です。

つまり広告というものは、自社にとって都合のいいことしか言わないのです。

ホームページの作成にかかる経費は、税務的には「広告宣伝費」にあたります。

法律事務所のホームページも広告宣伝のためにしているのがほとんどです。

ですから法律事務所のホームページの「お客様の声」「解決事例」などは、その事務所にとって都合のいいことばかり書かれていると思います。

いつも言っていることですが、お客をだますつもりで広告やマーケティング手法を悪用するのはよくないことですが、それなりのキャリアがあり、お客に迷惑がかからないのであれば、広告はごく普通に行われているマーケティング活動で、弁護士も普通にホームページなどを利用し宣伝広告するのはあたりまえの活動です。

スキルがないのに都合のいい広告宣伝でお客を集めることはいかがなものかと思います。

しかしスキルがある弁護士が自己アピールし広告宣伝でお客を集めることは、お客に迷惑のかかることではないので、スキルのある弁護士こそネット集客などに力を入れるべきだと思います。

弁護士を探している消費者も、広告やホームページにいいことが書いてあるからいい弁護士と安易に信じないで、きちんと面談し、その弁護士が自分に合うかご自身の目で確認して慎重に依頼する弁護士を選んでください。

弁護士選びで失敗しないためには、ホームページの情報だけを信じないで、面談して自分に合った弁護士かどうか確認することが大切です。